ヨガのシークエンスとは?組み方やポイントをプロが解説!
ヨガのシークエンスとは、さまざまなポーズを組み合わせてヨガの順番や流れを構成したものです。
この記事では、シークエンスを作る手順を、現役ヨガインストラクターが詳しく解説しています。シークエンスを組み立てる際に気を付けるポイントや、悩み別のシークエンス例を公開、ぜひヨガシークエンス作成の参考にしてみてください。
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執筆者:ヨガ講師横山ひろみ
RYT500、E-RYT200、YACEP(Yoga Alliance Continuing Education Provider)取得。北海道旭川市YogaStudio Sharanam主宰。SOELUではヴィンヤサヨガを主に担当。わかりやすいポーズ解説と親しみやすさでリピーター多数。指導者養成など幅広く活動中。
目次
ヨガのシークエンスとは?
ヨガのシークエンスとは、いくつかのポーズを組み合わせ、順番や流れを構成することです。
ただ単純にポーズを並べていくのではなく、筋肉や関節を徐々にほぐして身体を動かす準備の動きや、ヨガの呼吸法を用いて呼吸や心身の状態を整える目的など、さまざまな要素を組み合わせてクラスを展開させていきます。
難易度の高いポーズや、筋肉の強い緊張を伴う動きはケガの原因になるため、シークエンスは安心安全なレッスンをおこなう上で重要な要素といえるでしょう。
シークエンスによって初心者さんにはわかりやすく、経験者にとってはワクワクするような時間を提供できるのです。
ヨガシークエンスの組み方・手順
どのようなレッスンを提供するかは、インストラクターの雰囲気やヨガの種類、流派、難易度や強度によりさまざまに変化します。シークエンスもまた、レッスンを色づける大きなポイントです。
シークエンスを組むうえで重要な要素を確認しましょう。
シークエンスを組む手順
- レッスンのテーマを決める
- ピークポーズを決める
- 時間配分に合わせてポーズを組み合わせる
①レッスンのテーマを決める
テーマや目的を決定し、その結果を出すためのポーズや構成を考えていきます。テーマや目的が明確であれば、選ぶべきポーズや呼吸法などもおのずとみえてきます。
「肩こり」や「骨盤調整」などクラスタイトルにすることもありますが、目的やテーマが明確な場合、レッスンの終わりにその「結果」が求められます。そのため、忠実にシークエンスを組み立てていくことが重要です。
②ピークポーズを決める
レッスンのなかでもっとも挑戦的なポーズをピークポーズとして、流れを構成します。ピークポーズはそのレッスンで難易度が最も高くなるため、ピークポーズに合わせた組み立てが必要です。
例えば、ピークポーズが股関節を大きく横に開くポーズなら事前に股関節をほぐしたり、腰を反るポーズなら事前に背骨や筋肉をほぐします。難易度が低くピークポーズと似ている身体の使い方をする組み合わせで準備を行い、少しずつ深めていくシークエンスを組み立てましょう。
③時間配分に合わせてポーズを組み合わせる
シークエンスは大きく3つの時間に分けることができます。
【身体の準備を行う時間⇒身体を大きく使う時間⇒身体を静めていく時間】
3つの要素に合わせて時間を配分し、ポーズを組み合わせていきます。準備が足りなければケガや不調につながり、メインでポーズをおこなう時間が短ければ目的やテーマからずれてしまうこともあるでしょう。
クールダウンや休息のポーズをおこなわないと、身体に疲労感や不調などが残ってしまうこともあるため、どの時間も大切に組み合わせていくことが必要です。
シークエンスを組み立てる時のポイント
より良いシークエンスを組み立てるには以下のようなポイントを意識しましょう。
- ポーズを展開していく(急なピークポーズは危険)
- 流れを無視したつなぎ方を避ける
各項目を詳しく解説します。
ポーズを展開していく(急なピークポーズは危険)
安定して快適なポーズを行うためには、単純にさまざまなポーズを並べていくのではなくポーズを展開していくことが大切です。まだ緩んでいない状態で負荷をかけポーズを行うのではなく、緩めたり伸ばしたり緊張させたりと、徐々にポーズの強度を上げていきます。
例えば、メインとなるピークポーズで股関節外旋の動きがある場合、ピークポーズの前までに股関節外旋を伴う強度の低いポーズで準備をします。急に強度の高いポーズで新たな動きをおこなってしまうとケガにつながる恐れがあるため注意が必要です。
流れを無視したつなぎ方を避ける
ヨガには座位や立位、臥位、四つ這い、逆転などさまざまなポーズがあります。立つ・座る・寝転ぶなど体位が変化する場合、そのつなぎ方に意識を向けるとスムーズに展開できるでしょう。
寝転んでいる状態から急に立ち上がるような大きな動きは、血圧に変化が起こります。人によってめまいや立ちくらみ、失神などを起こす可能性があるため、座位から四つ這い、立位に上がっていくなどスムーズなつなぎ方が安心です。
単純に身体を動かす、肩を大きく回す、背骨を動かすといっただけでなく、肩の回し方や使い方などいろいろな部分に意図をもって構成することで、目的やテーマに合わせた「結果」を提供できます。
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【お悩み別】ヨガシークエンス例3選
現役ヨガインストラクターが、心身のお悩み別にシークエンス例をまとめました。ぜひシークエンス作成の参考にしてみてください。
- 肩こりが気になる方向けシークエンス
- 筋力アップ、ダイエット
- ストレス解消、リラックス
多くの方が抱えやすい不調に効果的なシークエンスを解説します。
肩こり(テーマを決めたシークエンス)
単純に肩を使うポーズを組み合わせるだけでなく、多角的な視点で肩こりへとアプローチしてくことがポイント。肩回しや体側伸ばしなど事前にポーズで使う筋肉や関節周りをほぐしておきましょう。
シークエンス例
- 子犬のポーズ(脇、肩回り、体側、背中)
- 猫と牛のポーズ(背骨、肩甲骨、骨盤周り)
- 糸通しのポーズ(背骨、背中、肩回り、腕)
- 鷲のポーズ(背中、肩甲骨、腕、胸、体幹、腰)
- 魚のポーズ(背中、肩甲骨、胸、首、頭頂)
肩関節に関係する筋肉や関節へアプローチするポーズをおこないます。はじめは緩めたりほぐしたりする要素の強いポーズから、しっかりとカラダを使うポーズへと移行していきます。
単純に肩だけを使うのではなく、肩の関節に関係する筋肉を緩めたり使ったりしながら、肩回りの血流が良くなる動きや下半身や体幹の強化をプラスすることで肩の力みを緩めていきます。
筋力アップ・ダイエット(ピークポーズを決めたシークエンス)
筋力アップやダイエットには、事前に使いたい筋肉を温めておくことが望ましいです。動的ストレッチの要素があるポーズや動きで準備をしておくことがポイントです。
シークエンス例
- トラのポーズ(体幹、お尻、下半身強化)
- 下を向いた犬のポーズ(全身運動、血流・代謝アップ、脂肪燃焼)
- 戦士のポーズ2(体幹、下半身強化、股関節外旋、)
- 戦士のポーズ3(体幹、背筋、下半身強化、バランス感覚)
- 半月のポーズ(体幹、お尻、下半身強化、股関節外旋、バランス感覚)
ピークポーズを半月のポーズとして、徐々に身体のスイッチを入れ深めていきます。全身をしっかり使うポーズを組み合わせて準備を行うことで、強度の高いポーズにも安心して挑戦できます。
ストレス解消・リラックス(時間配分に合わせたシークエンス)
ストレス解消なら、全身を動かすシークエンスを組み立てます。深いリラクゼーションにはリラックス要素の高いポーズだけでなく、アクティブなポーズを含めるのも効果的です。
首や肩関節、股関節を使う動きを合間に行うなど、ポーズでおもに動かす部位を事前にほぐしましょう。
シークエンス例
- 稲穂のポーズ(座位の側屈・体側、足の背面)
- 合蹠のポーズ(座位の前屈・股関節、ひざ)
- 太陽礼拝(全身運動、呼吸の深まり)
- 木のポーズ(立位のバランス、下半身、集中力)
- 子どものポーズ(座位の前屈・腰、背中、胸を閉じる)
- 支えのあるコブラのポーズ(うつ伏せの後屈・背面、腕、胸を開く)
呼吸法の後は座位のポーズで身体の準備を行います。中盤ではアクティブに全身を動かすことで、こわばりがちな身体をほどきます。
後半にかけては胸を閉じる、または開くポーズで心を落ち着かせて呼吸を行いやすくしていき、休息のポーズへスムーズに移行していきましょう。
ヨガシークエンスの正解はある?良いヨガシークエンスとは
ヨガレッスンでは、シークエンスの作り方によってさまざまなバリエーションがあり大きく変化します。シークエンスによってレッスンの良し悪しが決まると言っても過言ではありません。
単純に知っているポーズや好みのポーズを羅列しただけのシークエンスでは、心と身体に与える影響は大きく異なります。
目的やテーマがあればそれに沿った内容であり、しっかりとアプローチしていくことで結果をより感じやすくなります。一つひとつのポーズや動きがピークポーズをより効果的で安全に行うことができるよう一連のつながりを持って進めていくことで、ポーズの深まりや身体の変化をより味わうことができるでしょう。
また、ケガや不調が起こらないように構成することが大前提です。ポーズの取り組み方によっては、身体を痛めたり苦痛を感じたりするため、安全で安心して受けていただけるシークエンスを組むことが重要です。
まとめ
シークエンスを考えるインストラクターによって、いろいろな構成や展開があります。これが正解と決めつけず、受けてよかったと身体と心で感じてもらえるようなワクワクするシークエンスを考えていきましょう。
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