英雄のポーズIのやり方と効果、コツ|できない時の軽減法も
英雄のポーズⅠはサンスクリット語で「ヴィラバドラアサナⅠ/Virabhadrasana」といいます。ヴィラバドラとはシヴァ神の化身で豪傑(ごうけつ)な戦士を意味する言葉です。英語では「ウォーリア(戦士)ポーズ」、日本語では「英雄/戦士のポーズ」と呼ばれます。
(アサナはポーズを意味し、サンスクリット語でヨガのポーズは「~アサナ」と表現します。)
英雄のポーズⅠは太陽礼拝Bにも含まれ、ヨガのレッスンでもよく登場するヨガポーズで様々な効果が期待できる魅力的なヨガポーズです。英雄のポーズIのやり方や効果、ポーズを深めるコツについて解説します。
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目次
英雄のポーズとは?意味と種類
英雄のポーズ
- 英語:warrior pose
- 日本語:英雄(戦士)のポーズ
- サンスクリット語:Virabhadrasana ヴィラバドラーサナ
日本語だけでなく、英語やサンスクリット語で名前を聞くことも多いのが英雄のポーズ。日本語で「英雄のポーズ」「戦士のポーズ」という名称がついたのは、インド神話が起源です。
ヴィラバドラ(Virabhadra)はシヴァ神の化身で、シヴァの髪の毛から生まれた豪傑な戦士たちを意味します。
英雄のポーズは1〜3まで3種類あります。この記事では英雄のポーズ1から3までと、仰向けの英雄のポーズのやり方を解説しています。
ヨガの英雄のポーズⅠ(戦士のポーズ1)の効果
英雄のポーズIでは次の効果が期待できます。
- 下半身の筋力強化
- 股関節の可動域を広げる
- 背中をほぐし肩こり対策
- 精神の安定
- 集中力の向上
下半身の筋力強化
英雄のポーズⅠは両足でしっかり踏み込む動作で下半身の筋力を強化できるポーズです。
下半身の筋肉は全身の6〜7割を占めています。下半身の強化は代謝を上げたい方や、全身の巡りにも効果的。デスクワーク等で足がむくみやすい方や、疲れやすい方にもおすすめです。
股関節の可動域を広げる
「股関節が硬い」というお悩みをよく聞きますが、正確には「股関節周りの筋肉が使えておらず、硬くなっている状態」です。股関節周りの筋肉は腸腰筋、臀筋群、ハムストリングスなど多くの筋肉から形成されます。
英雄のポーズⅠは両足を前後に広げることで、股関節周りの筋肉を鍛えられ可動域アップ。股関節の可動域が広がると姿勢が整います。からだの安定感もアップするため、他のヨガポーズでも成長を感じられるでしょう。
背中をほぐし肩スッキリ
英雄のポーズは背中にある広背筋をストレッチし、肩にある僧帽筋を収縮させます。背中や肩の不調がスッキリします。
僧帽筋が硬くなっている方は、両腕を上げた時に肩が上がる傾向があります。肩甲骨を下げて首を長くするよう意識しましょう。
巡りが良くなる
英雄のポーズは下半身の筋肉を強化できるので、ふくらやぎの筋力アップにも効果があります。
ふくらはぎは第二の心臓ともいわれ、下に巡った血液やリンパを上に戻すポンプのような役割があるため、巡りを良くするには重要な筋肉です。
英雄のポーズで両腕を上げ、手の指先を真っすぐ空に伸ばします。指先まで意識を向けることで、腕を下ろした時に指先まで巡る感覚も味わえますよ。
精神を安定させる
「足が地につく」という言葉は気持ちや考え方が安定し、落ち着いている状態のことをいいます。その言葉の通り、からだの土台である足裏が安定すると心の安定に繋がります。
例えば家の土台がぐらついていると、その上にある家も安定しませんよね。英雄のポーズⅠは足の指も大きく開き、足裏全体でマットを踏みしめることで、足裏の安定感がアップします。安定した土台の上にあると、からだも心も安定します。
ストレスを感じたときや、気持ちが落ち着かないときは、英雄のポーズⅠでしっかり大地を踏みしめ、呼吸をすることで気持ちも変化しますよ。
集中力の向上
英雄のポーズⅠはヨガポーズのなかでも特に集中力を高められるポーズ。普段、私たちは体の外側に意識を向けて生活をしており、外側に意識を向けると脳が疲れます。体の内側に意識を向けると集中力がアップし、脳のリフレッシュにつながるのです。
英雄のポーズⅠで使う筋肉はどこ?
足を大きく開きながら両足で踏み込む英雄のポーズⅠは臀筋、ハムストリングス、下腿三頭筋(ふくらはぎ)、大腿四頭筋(前もも)、腸腰筋といった下半身全体の筋力アップに効果的です。骨盤を立てて上半身を支えることで、体幹も強化されます。
英雄のポーズⅠの手順
- マット前方に立ち左足を後ろに大きく引く
- 前後の踵が一直線上にあるかチェックし、後ろ足先は斜め45度に傾ける
- 骨盤を右足の方に向けて右足を踏み込む
- お腹を力強く締め、息を吸いながら両手を下から上へ持ち上げる
- 3〜5呼吸ホールド
英雄のポーズⅠ(戦士のポーズ1)を深めるコツ
英雄のポーズⅠでは左右の足の動きや骨盤の向き、上半身の伸びなど体のさまざまなポイントに意識を向ける分、苦手に感じる方も多いポーズです。とくに意識が必要なのが次の5つ。
- 両足の使い方
- 前後の膝の状態
- 骨盤の向き
- 腹筋の強さ
- 肩の力み
英雄のポーズⅠが難しく感じる場合は自宅で時間をかけながら、ひとつずつポイントを確認しつつ練習してみましょう。自分のからだと丁寧に向き合うことで集中力がアップし、日常生活で心の余裕がうまれますよ。
両足でしっかりと踏み込む
英雄のポーズⅠで足を前後に開くと、前足だけに意識が向きやすいですが、後ろ足もしっかり踏み込みましょう。前足は前方向に、後ろ足は後ろ方向にマットを引っ張り合うような感覚です。
足の指を使うことも大切です。足の指を大きく開き、5本の指の腹でマットを押すことで土台の安定感もアップします。
前の膝は足首の真上にくるようにする
英雄のポーズⅠで前膝がつま先よりも前に出ている場合は、足幅が狭いサインです。膝が足首の上にくるように、後ろ足を後方に引きながら調整しましょう。
両手を上げることで意識が上に向き、前膝が伸びやすくなります。上半身は上に伸び、下半身は下に踏み込むことを意識しながら、前膝は曲げて足首の上にくるようキープしましょう。
後ろの膝が曲がらないようにする
英雄のポーズⅠで後ろの膝が曲がると後ろ足の力が入りません。しっかり膝を伸ばし、お尻からハムストリングス、ふくらはぎ、かかとまで繋げるイメージで踏み込みましょう。
骨盤は正面に向け平行になるようにする
英雄のポーズⅠは、足を前後に開くことで骨盤も前後に開きやすくなります。後ろ足側の骨盤を前に押して、左右の骨盤を正面に向け平行にしましょう。
腰が反らないようにする
英雄のポーズⅠで反り腰になってしまう方は腹筋の弱さが原因かもしれません。
腹筋が弱いと腰が反り、肋骨も開きます。下腹部とお尻を引き締め、骨盤を後ろに倒して肋骨も閉じましょう。どうしても反ってしまう場合は、両足の左右の間隔を少し広げて調整します。後ろの足を外側に少しずらしてみてください。
肩は詰まらないようにする
肩が詰まる場合は、肩甲骨を下げましょう。肩に力が入っている時は、腹筋の力が抜けている可能性も考えられます。肩の力を抜くかわりに腹筋を使い、ポーズの状態を確認しましょう。
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英雄のポーズⅠができないときの軽減法
英雄のポーズIでよく聞くできないシーン別に軽減法をまとめました。
- 前の膝が踵より前に出てしまう→足の幅を広げる
- 骨盤を正面に向けられない→足幅を前後に短く、横に広くする
- グラグラする→足幅を広げて重心を低くする
- 腕を上げるのがきつい→両手を腰に添えてホールド
英雄のポーズの禁忌
下記の症状がある方は英雄のポーズIは控えましょう。
- 高血圧
- 心臓疾患
- 膝や股関節の問題がある
英雄のポーズII(戦士のポーズ2)の手順
- マットの上で、両脚を大きく開く(目安は脚1本分)
- 右のつま先を90度外側へ向け、両腕は肩の高さに伸ばす
- 右膝を曲げ、かかとの上に膝がくるようにし、膝とつま先の向きを合わせる
- 視線は右に向ける
- 呼吸を繰り返してキープ
- ポーズから戻り、反対側も同様に行う
英雄のポーズII(戦士のポーズ2)を深めるコツ
英雄のポーズⅡを深めるには下半身の使い方が大切です。
膝とつま先をそろえる
股関節から大きく開き、膝とつま先の向きをそろえるようにします。膝とつま先の向きが違うと、膝を傷める可能性があります。膝が内側に入り、つま先の向きに合わせられない場合は、少しだけつま先を内側に向けましょう。
曲げた膝がつま先より前に出る場合、足幅が狭いサインです。反対の脚で調節し、足幅を広げましょう。
脚をしっかり伸ばす
伸ばしている脚は膝を緩めず、しっかり伸ばしましょう。膝が曲がっていると両脚で踏み込めません。
曲げている脚に意識が向く傾向がありますが、同じくらいのエネルギーで両方の脚を力強く踏み込むようにしましょう。
骨盤の向きと高さを意識する
左右の骨盤の高さをそろえ、骨盤は正面に向けましょう。腰を反らさず、尾骨を下に向けるように、腹筋とお尻の筋肉を使ってキープしましょう。
英雄のポーズⅢ(戦士のポーズ3)の手順
- マットの真ん中で両脚をそろえて立つ
- 両手は腰に当てるか、上に伸ばす
- 右足に重心を乗せ、上体を前に倒し、左足は少し後ろに引き、足首を90度にし、かかとを浮かせる
- 頭から、左足のかかとが一直線をキープしたまま、体を前に傾け、床と平行にする
- 呼吸を繰り返してキープ
- 戻って、反対側も同様に行う
英雄のポーズは片足で立つポーズのため、ヨガ初心者さんには難しいポーズです。もっと詳しく知りたい方は以下の記事をチェックしてみてくださいね。
関連記事:【ヨガの英雄のポーズ3】やり方とコツ、できない人向け練習法
天を仰ぐ英雄のポーズ(リバースウォーリア)
- マットの上で、両脚を大きく開き、目安は脚1本分
- 右のつま先を90度外側へ向け、両手は腰に置く
- 右膝を曲げ、かかとの上に膝がくるようにし、膝とつま先の向きを合わせる
- 左手を左のももに添える
- 吸いながら、右手を横から上げ、耳の横に伸ばす
- 吐きながら、上体を左に倒す
- 呼吸を繰り返して、キープする
- 反対側も同様に行う
天を仰ぐ英雄のポーズ(リバースウォーリア)を深めるコツ
ポイント
- 腰が反らないよう、尾骨を下に向ける
- 肋骨が開かないよう、腹筋を使って骨盤と肋骨の距離を縮める
- 骨盤と両胸は、真っすぐ前に向ける
リバースウォーリアは他の英雄のポーズよりも胸を開いて行うため、呼吸を深める効果があります。広がった胸で呼吸を大きく繰り返すと、気持ちも前向きになりますよ。
【初心者向け】仰向けの英雄のポーズ
- 長座になり、右膝を曲げ、かかとをお尻の外側におく
- 身体を少し後ろに倒し、両肘をマットにつく(前ももが突っ張る方はここでキープ)
- 上体をマットに下ろし、両腕は体側に伸ばすか、頭の上で肘どうしをつかむ
- 呼吸を繰り返してキープ
- ゆっくり上体を起こし、右膝を伸ばす
- 反対側も同様に行う
仰向けの英雄のポーズを深めるコツ
ポイント
- 腰が反ってマットから浮く場合、吐く時に腰をマットに近づけるようにする
- 膝が開かないようにする
- 膝が開いている場合は伸ばしている足を軸として、曲げている膝を反対の膝に近づける
仰向けの英雄のポーズは、前ももをストレッチできます。反り腰の方は前ももが硬いことが原因で、骨盤を前に引っ張り骨盤を前傾させています。
反り腰をどうにかしたい方、前ももが張っている方は、ゆったり呼吸をしながら前ももをほぐし、柔軟性を高めましょう。
英雄のポーズⅠ以外のおすすめヨガポーズ
英雄のポーズI同様に下半身の筋力強化におすすめのヨガポーズは、椅子のポーズ(チェアポーズ、ウットゥカターサナ)です。英雄のポーズⅠもですが、椅子のポーズも太陽礼拝Bに含まれています。
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