【初心者必見】ハタヨガとは?基本ポーズ一覧とヨガとの違いを解説
ハタヨガとは、インドの伝統的なヨガの一種で、体を動かすことに重点を置いたヨガのことを言います。現代ヨガのルーツと呼ばれている基本のヨガで、アーサナに重点を置き肉体を動かすことによって心身を整えることが目的です。
ヨガインストラクターの筆者がヨガとハタヨガの違いやハタヨガならではのメリットをヨガ初心者向けに分かりやすく解説しています。
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目次
ハタヨガとは?言葉の意味も解説
ハタヨガは、現代ヨガのルーツと呼ばれている基本のヨガ。アーサナ(ポーズを取ること)と、プラーナヤーマ(呼吸法)を中心に心と体にアプローチします。
アーサナ(ポーズ)とプラナヤマ(呼吸)を中心に行うハタヨガの概念によって、現代のフィットネス要素を強く含む、身体を動かす「ヨガ」という言葉が、広く一般的に知られるようになりました。
「ハタ」の意味は?
「hatha(ハタ)」にはサンスクリット語で2つの対極する意味があり、「ha(ハ)」は太陽や陽を意味し、「tha(タ)」は月や陰を意味します。また、サンスクリット語でヨガと言う言葉は本来「結ぶ」と言う意味があります。
つまりハタヨガとは、対極にある2つのことを結びつけ、バランスを取るためのものと言えます。
ハタヨガの特徴と歴史
ハタヨガの起源とハタヨガにおけるポーズ、呼吸法から特徴を解説します。
ハタヨガの歴史
ヨガの経典のひとつである『ヨーガ・スートラ』が誕生したのは6世紀頃。一方、ハタヨガの経典とも言われる『ハタヨーガ・プラディーピカー』と言う書物が誕生したのは15世紀から16世紀頃。
ヨガの歴史から言うと、ハタヨガの歴史は意外にも長くないのですね。
ハタヨガにおけるアーサナ(ヨガポーズ)
アーサナとは、私たちが普段ヨガのクラスで取るポーズのことです。ハタヨガではこのアーサナに重点を置いていて、肉体を動かすことによって心身を浄化していきます。
ヨガの本来の目的は、サマーディ(三昧)と言う精神的な最高峰に登ることです。ハタヨガでは、アーサナがサマーディ到達に重要な役割を果たします。
ハタヨガのヨガポーズの数は、動物や植物の種の数だけあり、840万種ものポーズがあると書かれている書物もあります。
しかし、ハタヨガの開祖であるゴーラクシャ氏はポーズの数は84と言っており、また、現代ヨガの父と呼ばれるB.K.S.アイアンガー氏は『ハタヨーガの真髄』の中で201ポーズを紹介しています。
プラナヤマ(呼吸法)とは?
ハタヨガではアーサナの次に行うべきものとして、プラナヤマがあります。プラナヤマとは、呼吸やプラーナ(生命エネルギー)を制御する方法のことです。
私たちはイライラしている時や緊張している時は呼吸が早く浅くなり、リラックスしている時は呼吸がゆっくり深くなります。
このように感情と呼吸は連動するので、呼吸をコントロールできるようになると、感情もコントロールできるようになります。
【ヨガの呼吸法についてはこちら】
ヨガの呼吸法一覧9種類|やり方と効果を初心者向けに解説
現代のハタヨガでは、アーサナの動きに合わせて行う呼吸もプラナヤマの一種と言えますが、本来は独立した呼吸法のことで、伝統的なハタヨガではアーサナの後にプラナヤマを行います。
ヨガの世界には「アーサナ」や「プラナマヤマ」など様々な専門用語が存在します。
ヨガ用語を理解しているとレッスンに集中しやすくなるので、基本的なヨガ用語もチェックしてみましょう。
【ヨガ用語についてはこちら】
ヨガ用語集25選|初心者が絶対覚えたい頻出ワードと意味
ハタヨガポーズを初心者向けに紹介!ヨガポーズ一覧も
ハタヨガの代表的なポーズを2つご紹介します。基本的なポーズ一覧、太陽礼拝は以下の記事でまとめています。
【ヨガの基本ポーズをチェックしたいならこちら】
ヨガポーズ一覧23選|基本&初心者向け簡単ヨガポーズ
【保存版】太陽礼拝12ポーズを画像で解説!効果やABのポーズの違い
英雄のポーズ2(ヴィーラバドラ・アーサナ2)
英雄のポーズのやり方
- 立った状態で息を吸いながら脚を大きく横に開く。
- 右足を90度外側に向け、左足を少し内側に向ける。
- 息を吐きながら右の膝を90度に曲げ、左脚は真っ直ぐ伸ばしたままをキープする。
- 両手を肩の高さで左右に広げる。目線は右の指先。
- ゆっくりと呼吸をしながら20秒から30秒ほどこの姿勢を保つ。
- 息を吸いながら「1」の姿勢に戻り、反対側も同様に行う。
英雄のポーズ2の効果
- 脚の筋力を強化
- 股関節の柔軟性向上
- 姿勢を整える
関連記事:英雄のポーズIのやり方と効果、コツ|できない時の軽減法も
片足を伸ばして前屈するポーズ(ジャーヌ・シールシャ・アーサナ)
片足を伸ばして前屈するのポーズのやり方
- 両足を伸ばして骨盤を立てて座る。
- 左の膝を曲げて、左の足裏を右ももの内側につける。
- 息を吐きながら両手を前方に伸ばして右足を持つ。
- ゆっくりとした呼吸で前屈を深め、30秒から1分ほどこの姿勢を保つ。
- 息を吸いながら「1」の姿勢に戻り、反対側も同様に行う。
片足を伸ばして前屈するのポーズの効果
- 消化機能を整える
- ハムストリングの柔軟性向上
- 股関節の柔軟性向上
ハタヨガとヨガの違い
「ハタヨガ」とは簡単にいうと体を動かすヨガ全般を指します。
「ヨガ」は本来実に幅広い意味を持っていて、普段私たちがヨガと呼んでいる体を動かすポーズ(アーサナ)他に、規律や哲学、瞑想などさまざまなものを含みます。
その中でも私たちが普段「ヨガをする」と言うときに表しているヨガがハタヨガです。
つまり、広い意味でハタヨガは体を動かすヨガ全てを指すので、ヨガスタジオで行われている全てのヨガはハタヨガの一種と言っても過言ではありません。
一般的にヨガクラスなどでハタヨガと呼ばれているものは、基礎的なポーズを中心に、比較的ゆっくりと進行されることが多いです。
ハタヨガとは異なりアーサナを行わず瞑想や生活の中で実践するヨガもあります。その一つがジニャーナヨガです。ジニャーナヨガについて興味のある方は下記をご覧ください。
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ハタヨガは初心者にこそメリットたくさん!
さまざまなヨガの種類があるなかで、ハタヨガを行うメリットはずばり「初心者向き」なことです。その理由を詳しく説明していきます。
- ヨガの基本を学ぶことができる
- 効果を感じやすい
- 気軽に行える
それぞれ詳しく解説します。
ヨガの基本を学ぶことができる
ハタヨガは現代ヨガのさまざまな流派の元祖だと言われています。ハタヨガを行うことで、ヨガの基本の呼吸法やポーズを学べるでしょう。
効果を感じやすい
アーサナ(ポーズ)を中心としたハタヨガでは、瞑想や食事法、哲学などをメインに行うヨガに比べて、爽快感やリラックスなど身体的な変化を感じやすく、エクササイズとしてヨガを始めたい方にぴったりです。
気軽に行える
一般的に「ヨガ」と聞くと、柔軟性を求められるポーズや哲学的な話、瞑想など、初心者の方には敷居が高いと感じるかもしれません。
実際のハタヨガレッスンでは、呼吸に意識を向けて比較的ゆっくりと1つ1つのポーズを行います。エクササイズ要素の強い、誰でも気軽に行える内容になっているので、ヨガ初心者さんでも実践しやすいでしょう。
ハタヨガの効果
ハタヨガの実践によって期待できる心身への効果をご紹介します。
- 柔軟性がアップする
- 集中力を高められる
- ゆがみを整えられる
- 睡眠の質が上がる
- 筋肉を鍛えられる
- ダイエット中のエクササイズとしても
ハタヨガならではの効果を見ていきましょう。
柔軟性がアップする
ハタヨガを継続的に行うことにより、普段の生活で硬くなっていた筋肉が伸ばされ、柔軟性アップが期待できます。筋肉の緊張がゆるむことで気になるコリや疲れもほぐされるでしょう。ヨガの実践は1週間に1回だけ長時間ヨガを行うよりも、短時間でもいいので頻繁に行う方が効果的です。
集中力を高められる
ハタヨガで呼吸法とポーズを行うことで、心身へ意識を向け集中力を高めることができます。集中力を高めることは瞑想を深めるために有効です。
メディテーション(瞑想)を行うためには、ひとつの姿勢を長時間キープしたり、呼吸を制御することが必要になります。
ハタヨガを行うことにより柔軟性や集中力がアップすると、ひとつの姿勢を維持するのが苦痛でなくなるため、メディテーションに集中することができるようになります。
関連記事:瞑想の正しいやり方と効果|ヨガ講師伝授3つのポイントで脳リセット
ゆがみを整えられる
ハタヨガのポーズで全身の筋肉をストレッチ、強化することで、姿勢のゆがみが整えられます。とくに猫背や反り腰などは肩こり腰痛などの不調の原因にもなるので、日頃からハタヨガのポーズを実践し、姿勢の癖を整えることが大切です。
自宅ヨガを楽しむ10のポイントも要チェック!
睡眠の質が上がる
ハタヨガのポーズと呼吸法で心身の緊張をゆるめ、リラックス状態に入りやすくさせることで睡眠の質向上が期待できます。
関連記事:不眠対策ヨガポーズ10選|眠れない夜の睡眠ヨガルーティン
筋肉を鍛えられる
ハタヨガのポーズの中には筋肉を力強く使うポーズもたくさんあり、柔軟性やバランス感覚のアップだけでなく、体幹(コア)をはじめ全身の筋力アップも期待できます。
ダイエット中のエクササイズとしても
何百年も前に書かれたハタヨガの経典『ハタヨーガ・プラディピカー』の中でも、章の最後に「ハタヨーガの完成」と題して、「ヨガに成功した印として美しい外観や細くなる」などと記されています。
もちろんヨガの本来の目的は内面的なものなのですが、副産物として外面的な効果が期待できるのは嬉しいですよね。
関連記事:【ヨガ痩せる説の真実】効果ない?ダイエットに良い本当の理由とは
【研究データでわかる】痩せる?ハタヨガのダイエット効果
世界中で行われているヨガに関する研究のなかで、ハタヨガを用いた研究データをピックアップしました。
ハタヨガで筋力や柔軟性の向上した研究結果
2015年に香港で行われた研究によると、ハタヨガを12週間継続して行うことで心肺持久力、筋力と持久力、柔軟性に好ましい効果をもたらしたという結果が確認されました。※1
成人173名を対象に行われた詳しい研究内容は以下の通りです。
- ヨガグループ87名(週に1回、60分のハタヨガプログラムを12回受講)
- 対照グループ86名(研究期間中はいかなる運動も開始しない)
研究結果では上半身の筋肉と腹筋の筋力、持久力において好ましい効果が見られたとありました。
この研究では体重について触れられていませんが、筋力の向上が期待できるハタヨガは結果的にダイエットにも良い影響があると考えられます。
ヨガで体重が減少した論文
2013年に行われたNCCIH(米国国立補完統合衛生センター)が助成した論文では、ヨガを基本とした17プログラムのほとんどで体重がゆるやかに減少することがわかりました。
できるだけ頻繁に長時間のヨガを行い、家でも実践することで減量しやすいという要素が報告されています。※2
2つの研究結果からわかるのは、ヨガの継続でゆるやかに体重、体型への変化があらわれるということです。自宅でヨガを行う習慣をつければ、それだけ早くハタヨガの効果を実感しやすいでしょう。
まとめ
ハタヨガの実践はヨガ初心者さんにこそおすすめ。ハタヨガでヨガの基礎を体験し、更にヨガの深さや面白さを追求したくなったら、ハタヨガを元祖に派生していった、さまざまなヨガを学んでいくことをおすすめします。
ヨガ経験者さんも、現代ヨガの元祖と呼ばれるハタヨガを実践することで、改めてヨガの奥深さを実感できるでしょう。
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文:SOELU Magazine編集部/Aya Ogawa
監修:Aya Ogawa(ヨガインストラクター)
【参考文献、ページ】